島津日新公「薩摩いろは歌」

Link-1(島津忠良-Wiki(ただよし)1492-1568 日新斎(じっしんさい)の号) -2 →島津義弘.com 島津斉彬(1809-1858。11th 藩主1851-1858。)



 古(いにし)えの 道を聞きても唱えても わが行ひにせずば甲斐なし実践が大切)
***************昔からの聖賢の教え(理論)をいくら聞いて、口先で唱えても、
自分で実践しなければ何の役にも立たない。→「道」の関連、●老子 (The theory will be realized only by your practice.)  樓(ろう)の上も はにふの小屋も住む人の 心にこそは 貴(たか)き 卑(いや)しき ***************立派な家に住む人も、みすぼらしい小屋に住む人も、その人の心にこそ
尊い/卑しいの区別がある。(はにゅう【埴生】)(Nobleness lies in your own mind.)。→●キリスト教  儚(はか)なくも明日の命を頼むかな 今日も今日もと学びをばせで学問は大切) ***************明日があるさ、と言って大事な学問を勉強せず、あても無く、
明日の日を楽しみにしている人がいる。
(Today, you can study. Momento, mori. Studying is important)●學問のすゝめ by 福澤諭吉  似たるこそ友としよけれ交らば われにます人おとなしき人---成長の励み) ***************自分と同じぐらいの似たものを友としやすいものである。(それはかならずしも
身のためにはならないから)せっかく友として交わるなら、学問や腕前が自分より優れ、おとなしい人
(または大人びた人)を選ぶべきである。
(I hope my friends, including my enemies, would be superior to me.) ●論語學而1  ほとけ神 他にましませず人よりも 心に恥ぢよ 天地よく知る ***************(意訳)神は、あなたの良心に働きかける。仏性(ぶっしょう)はあなたにある。 (The source of morality is your mind, soul, and spirit.) 天地→●易経・エニアグラム-メモ  下手ぞとて 我と許すな 稽古だに 積もらば塵も山と言の葉 ***************「自分は下手だから」と言って、稽古ごとひとつでも、気をゆるめ、なげだしては、
いけない。「塵も積もれば山となる。」ということばもある。(Do your best in training.)●神道  科(とが)ありて人を斬るとも軽くすな 生かす刀もただひとつなり ***************たとえ死刑にするような重罪人でも、決して軽い裁きをしてはならない。
人を殺す刀も生かす刀も、君主の心ひとつにあるのだ。
(You monarch! Your judgement would influence much.) (追記; 死刑制度反対の根拠にならないだろうか。「ひとは、間違う。」(Apple(TM)の提唱)
ちなみに、この「さつまかるた」や儒教は、君主道徳である。●『君主論』Nietzsche  知恵能は身につきぬれど荷にならず 人は重んじ 恥づるものなり ***************知恵や芸能は(私は、Science and Artと訳したい。)荷物にならず、 かえって世間の人は、その人を重んじ、自分の及ばないことを恥ずかしく思うものである。
(追記;国を失なった●ユダヤ民族が、学問を重んじ、世界史を生き延びたことと重なります。)  理も法も立たぬ世ぞとてひきやすき 心の駒の行くにまかすな ***************道理も通らず法も行われぬ末世だからといって、易きに走りたがる心のままに、
わがまま勝手放題をしてはならない。(Control your mind, even though it is the Day of End.) cf. ●BPD  盗す人はよそより入ると思ふかや 耳目(みみめ)の門(かど)に戸ざしよくせよ ***************感覚器からの情報が、こころを惑わし、魂を奪うものである。あなたは
(意訳--->判断をするべきである。(Guard your gates of sense. e.g. Some visions allure you.) cf. ●仏教  流通(るづう)すと貴人(きじん)や君が物語り 初めて聞ける顔もちぞよき ***************たとえ自分はよく知っていても、目上の人の話は初めて聞くような態度で聞くのがよい。
(You would learn a lot, if you have a mind to hear for the first time.)  小車のわが悪業(あくごう)にひかれてや つとむる道をうしと見るらん ***************自分のつまらない行いが、だんだん悪い習慣となり、ついには自分のしなければ
ならないつとめを、つらいことだと思い、いやがるようになるものである。
(Oh! Such a bad habit sums up to your reluctance.)  私(わたくし)を捨てて君にし向かわねば 恨みも起こり述懐もあり ***************私の心を捨てて、わが身を投げ出して、主君にお仕えしなければ、何か事がある場合、 すぐ恨みも起こり、不平不満を漏らすものである。 (これを封建時代の道徳として、無視していいでしょうか? この中に現代的な意味あいを見いだせないでしょうか。 (public mind, noblesse oblige, the flower of chivary (courtesy, courage, loyalty, generosity)  学文(がくもん=学問)は 朝(あした)の潮のひるまにも 波のよるこそなほ静かなれ ***************学問は朝でも昼でも励まなければならないが、夜のほうがなお静かでよい。 (Quiet night is prepared for your studying.)  善き悪しき人の上にて身を磨け 友は鑑(かがみ)となるものぞかし ***************善きにつけ悪しきにつけ、人の身の上(姿)を見ることによって、自分を磨くのが
よい。特に友だちは我が身を修め正す鑑(かがみ)となる。(You can learn much from your friends.)  種となる心の水にまかせずば 道より外に名も流れまじ ***************悪行の種となる欲心にまかせなかったならば、道にはずれた悪い名が、
世間に伝わることもあるまい。(Sow the good seed onto your mind.)  礼するは人にするかは人をまた さぐるは人をさぐるものかは ***************礼儀をつくすのは、他人にするものであろうか。(いや、そうではない。)
また、ひとを見下げるのは、単にその人を軽蔑することだろうか。いや、自分を見下げることになろう。 (It is for yourself to be polite to others.)  そしるにもふたつあるべし大方は 主人のためになるものと知れ(諌言) ***************下の者が主人の悪口を言うのに、(主人を大事に思って真心から言うのと、
恨みや不満などから言うのと)二通りあるだろう。しかし、どちらにしても、たいていは主人のためになると思って、
喜んで聞くがよい。(Have a good ear to remonstration.)  つらしとて恨みかへすな我れ人に 報ひ報ひて果てしなき世ぞ(復讐の輪を断て) ***************(他人からひどいことをされて)辛(つら)いからといって、
その人に恨み返してはならない。お互いに恨み返し、報いあっていては果てしがないではないか。 (Shut off the endless circle of revenge.)  ねがはずば隔てもあらじ偽りの 世に真(まこと)ある伊勢の神垣(かみがき) ***************どんな嘘、偽りの多い世の中であっても、神は公平に見ておられるから、
人々が無理なお願いさえしなければ、ひとによって分け隔てをなさることはあるまい。 (Your right hope will come true.)  名を今に残し置きける人も人 心も心 何か劣らん ***************この世に立派な名を残している人も、やはりわれわれと同じような人間であり、
その人たちの心も同じ人間の心で、われわれが何も劣っているのではない。 (Renouned men have the same mind as we have.)  楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名をただ思うべし ***************楽しいことも、苦しいことも、その場限りのもので、時が過ぎると
跡かたもなくなるものである。人たる者は、後世によい名を残すよう一心に心掛けるべきである。 (Let's leave our names on the history.)  昔より道ならずして驕(おご)る身の 天の責めにし遇(あ)はざるはなし ***************昔から正しい道によらずに、奢(おご)る者で、天罰に遇わない者はない。 (Devine punishment toward the arrogant.)  憂かりける今の身こそは先の世と 思へば今ぞ後の世ならん ***************つらいこの世に生きているこの身の上は、前の世になしたことの報いであると思えば、
今の世でなすことは、また後の世の報いとなるであろうか。(この世での行いを慎むべきである。) (Behave yourself in the view of retribution.)  亥に臥して 寅には 起くといふ露の 身をいたづらに あらせじがため ***************昔からよく勉強する人は亥の刻(午後10時ー)に寝て、寅の刻(午前4時ー)
に起きるというが、これは、はかない我が身を無駄に過ごさせないためである。 (You go to bed and wake up early、and study.)  のがるまじ所をかねて思い切れ 時に至りて涼しかるべし(覚悟) ***************どうしても、逃れることができない場合は、命を捨てるものと覚悟を
決めておくがよい。この覚悟さえあれば、まさかの時になって、少しの未練もなく、心は清らかであろう。 (You make up your mind to die in the case of it.)  思ほえず違(たが)ふものなり 欲を離れて義を守れひと ***************私欲があると思わず知らず、人道に外れたことをするものである。自分一身の欲を
捨てて、正しい道を守るようにせよ。 (Evil mind leads to unjustice.)  苦しくとすぐ道を行け九曲折(つづらおり)の 末は鞍馬のさかさまの世ぞ ***************たとえどんなに苦しくても、真直ぐな道を行き、正しいことをしなさい。
もし九十九折(つづらおり)のように曲がりくねった道を歩き、不正をすると、その末は鞍馬山の暗い道から
逆さまに落ちるような目に遭うものだ。 (Make your way of life straight.)  やはらぐと怒るをいはば弓と筆 鳥に二つの翼とを知れ ***************和らぐと怒るとの二つを例えて言うと、弓(武)と筆(文)、また鳥に二つの翼が
あるようで、一方を欠いては役に立たない。  万能も一心とあり事(つか)ふるに 身ばし頼むな 思案堪忍 ***************「万能も一心」という諺(ことわざ)がある。どんなに多くの技術を以ていても、
心が悪ければ何の役にも立たない。人に仕えるには、自分の才能を頼みにして自慢してはならない。
思案し堪忍しなければならない。(ars cum philosophia; art(technique) with philosophy )  賢不肖 用ひ捨つると言う人も 必ずならば殊勝なるべし ***************賢い人を用い、愚かな人を退けて、よい政治をするという人が、必ずその通り
実行できたら、まことに感心なことである。(It is difficult to appoint appropriately  無勢(ぶぜい)とて敵をあなどることなかれ 多勢を見ても恐るべからず ***************小数の敵だからといって、これを侮(あなど)ってはいけない。 (Overconfidence would be very dangerous.)  心こそ軍(いくさ)する身の命なれ そろゆれば生き揃はねば死す ***************心こそは戦争をするものの命である。味方の軍の心が揃えば勝つ。 (In war, the union of the each mind of soldiers is very important.)  回向(えこう)には我と人とを隔つなよ 看経(かんきん)はよししてもせずとも ***************回向(=死者の弔い)をするには味方と敵を区別してはならない。
例えお経を読もうが読むまいが、それより真心こめてまつることである。 (Mourn for the dead sincerly.)  敵となる人こそはわが師匠ぞと 思ひかえして身をもたしなめ ***************自分の敵となる人は憎むべきであるが、また一方から考えると、自分に
油断をさせず、刺激を与え、自分を磨いてくれるものである。敵こそは自分の師匠と思い返して我が身を慎め。 (Oh! Your ememy is your teacher.)  明(あき)らけき 目も呉竹(くれたけ)のこの世より 迷はばいかに後の闇路(やみじ)は ***************明らかな目も暗んで、この世から迷っていたならば、死んでから先の世の闇路は
どうなることであろう。(Do not lose your way.)  酒も水流れも酒となるぞかし ただ情けあれ君がことの葉 ***************(越(えつ)王の勾践(こうせん)は、酒をもらったが、自ら飲むにしのびず、
かといって、皆に飲ませる量ではなかった。そこで上流に酒を注ぎ、兵たちはその川の水を酒のように
ありがたく飲み、やがて呉の国に勝った故事がある。)場合によっては、酒も水のようにまずくなり、
また川の水であっても酒のようにありがたく思われることもある。人の上に立つものは、たった一語であれ、
情けのこもった言葉をかけるように努めよ。(A spoonful of sugar helps medicine go down in a most lightful way.)  聞くこともまた見ることも心柄 皆 迷いなりみな悟りなり ***************我々がかねて聞いたり見たりすることも、自分の心の持ち様で、皆迷いともなり、
悟りともなる。(心に曇りがあると真相(実相)をみることは難しい。)(Have a good eye for the truth.)  弓を得て 失うことも 大将の 心ひとつの手をば離れず ***************軍勢の心を得るのも、また軍勢の心を失うのも、ただ大将たるものの心一つに
よるものである。(Victory or defeat depend upon the captain's mind.)  めぐりては我が身にこそは事(つか)へけれ 先祖のまつり忠孝の道 ***************先祖のまつりや忠孝の道というものは、その末は自分自身にめぐってくるものである
が、これは自分が自分に仕えているようなものである。(Loyalty to others means that to yourself.)  道にただ身をば捨てなむ思ひとれ 必ず天の助けあるべし ***************正しい道のためにはいつでも身を捨てようと覚悟をしておれよ。
その真心は天に通じて神の助けを受けるだろう。(Devote yourself to the right way.)  舌だにも歯こはきをば知るものを 人は心のなからましやは ***************舌でさえも歯が恐いことを知っているのに、まして人間は相手を見る心が
なくてよかろうか。(Read his mind.)  酔(ゑ)へる世を さましもやらで杯(さかずき)に 無明の酒をかさぬるは憂し ***************この道義の廃れた世にあって迷いの道をさましもせず、さらに迷いの盃を重ねて
ゆくのは、残念なことである。(Awake my friend.)  ひとり身を あはれと思へ 物ごとに 民には許す心あるべし ***************頼る人も無い老人・孤児たちを、哀れに思っていたわってやれ。民に対しては
寛大な心、情けある心がなければならない。(Generous and pitiful to people.)  もろもろの国や所の政道は 人に先ずよく教え習わせ ***************どこの国や村でも、そこで行われている法令は民にまずよく教え習わせておく
べきだ。 (Teach laws to people.)  善に移り過(あやま)れるをば改めよ 義不義は生まれつかぬものなり ***************悪いことがあったらすぐ善い方に直せ。間違いに気付いたらすぐ改めよ。
義も不義も決して生まれつきではないのだから。(Remend immediately if you are wrong.)  少しきを足れりとも知れ満ちぬれば 月もほどなき十六夜(いざよい)の空 ***************まだ少し足りなくても満足するがよい。月も満月になれば翌日からは、
十六夜の月となて欠けはじめる。(Satisfy before it is fulfilled.) (cf. Yuming「14番目の月」)